
今回は透明水彩パレットの作り方の基本を紹介します。
独学で透明水彩を0からはじめた方にも分かりやすいように丁寧に解説していきます。
パレットを基本にそって作るとこんな利点があります。
- 透明感のある絵が描けるようになる
- 3色以上混ぜても濁りにくくなる
- 補色や反対色について理解が深まる
混色が上達し透明感のある絵が描けるようになる!
という事です。

水彩に慣れてきたらご自身が使いやすいようにどんどんカスタマイズしていくともっと楽しくなります。
世界に1つだけのオリジナルパレットを作るとすごく愛着が湧き、創作活動もより楽しく快適になります。
それではまず、基本的なパレットの作成方法を紹介します。
透明水彩パレットの作り方
パレットの作り方にもしっかりと基本があります。
初心者さんはまず基本にそってパレットをつくり、慣れてきたら自分流にアレンジしていくのがおすすめです。
私は透明水彩作家(画家)の永山裕子先生(@yuko_nagayama)に憧れているので、今回は永山裕子先生の著書やDVDなどに基づいてパレットの作り方を紹介します。
永山裕子先生は初心者さん向けの技法書なども複数出版されており、基本をしっかり教えつつ、ご自身の技法を惜しみなくすべて教えてくださる所がすごく好きです。
これが私の自作パレット

上段は黄色からはじまり、橙色⇒赤色⇒紫色と色相環の順番を意識して配置しています。
下段にも色相を意識して緑と青をならべ、そして茶色やグレーなどは右にひとまとめに配置してあります。
一応このパレットはこれから紹介する基本にそって作ってあります。
このパレットを作った工程は以下の記事で紹介しています。
水彩パレットについて
水彩用パレットには様々な種類がありますが、今回は基本を紹介するので1番スタンダードな折りたたみ式のパレットを使用します。
パレットは100円均一に売られているプラスチック製のもので十分です。

現在は高級感もあり、耐久性にも優れたオシャレでカッコいい≪アルミパレット≫を愛用しています。
ハーフパンを使用している方も、配置の基本は同じなので参考にしてみてください。
私が実際に購入した水彩パレットは以下記事でご紹介しています。
パレット作りの基本を3つ紹介
- 絵の具は固めて使う
- 水彩パレットは洗わなくていい
- 色相環を意識して並べる
- 初心者の内は白と黒をパレットに出さない
- 絵の具はパレットにたっぷりと出して固めておく
基本1:透明水彩絵の具は固めて使う

そして固まった絵の具をその都度水で溶かしながら彩色します。
ここがアクリル絵具や油絵具と違うところですよね。
透明水彩は固まっても何度でも水で溶かせるんです!
大変コスパが良くお財布に優しい画材です。
基本2:パレットは洗う必要なし
透明水彩絵具はいったん固めて、水で溶かしながら使用するものなのでパレットを洗ったりしません。
もし混色するスペースがなくなってきたり汚れが気になってきた場合は、水で汚れを浮かし、ティッシュなどで拭きとってキレイにします。
永山裕子先生のパレットはカオス
永山裕子先生のパレットを見てみるとすごいです。
多分ですが1度も洗い流したことがないと思われます。
にも関わらずこれほどまでに透明感のある美しい絵をかけるのはもちろん先生の才能や努力の賜物でもありますが、しっかりと基本にそってパレットを作っているからだと思います。
基本3:色相順に配置する

絵の具は仕切りに1色ずつ出して固めておきます。ただ色を適当に並べてはいけません。
色相環を意識して配置することがとっても大切です!

頂点に黄色があり、時計回りに黄色⇒みどり⇒青⇒赤⇒橙⇒黄色となっています。
パレットの仕切りには、この色相環を意識して順番通りに絵の具を配置していきます。
この色相環の順番どおりにパレットに並べるのが水彩の基本となります。

なぜ色相環の順に並べるのか

色相環で隣り合う色同士は混色しても濁りません。
混色しても鮮やかに発色します。
一方、色相環の正反対に位置する色は混ぜると必ず濁ります。


プロの方はどの色を混ぜると美しく発色するのか、もしくは濁るのかをしっかりと理解していますが、初心者さんは覚えるのが大変ですよね。
パレットを色相環に沿って作ることで初心者さんでもひと目でどの色が補色なのか判断できるようになります。
つまり美しく発色する混色と、濁ってしまう混色が誰でもわかるようになるんです。

因みに私はどちらかと言うとグレーを作るのが苦手だったのですが、色相を意識してパレットを作ってからは自分好みのグレーを作れるようになり、陰影の表現が上達しました。
濁らせたくないときは近い色同士を混ぜ、影など暗い色を作りたい時はわざと離れた色を混色すると覚えておくと便利です。
色相環の順に並べておくと、補色や反対色の理解が深まるのでより一層水彩が楽しくなります。
初心者さんは絵具セットの順番どおりに並べてもOK

それは12色セットや18色セットなど、セット売りされている絵具は箱の並び順にパレットに配置するのがベストです。

ほとんどが色相環に沿って箱に並べられているので、よくわからない方や初心者さんは箱に並んでいる順番どおりにパレットに入れておけば大丈夫です。
私は初心者だった頃、色相環とか全然わからなかったので、箱の中の順番通りにパレットに出して使っていました。
- 色相環の順に並べる
- またはセットに入っている順番通りに並べる
初心者さん向け!パレット作りのポイント
パレット作りの基本を3つご紹介しましたが、ここからは初心者さんが知っておくと便利なパレット作りのコツやポイントを紹介します。
2つご紹介しますが、あくまでもおすすめであって強勢ではありません。
- 水彩に慣れるまで白と黒はなるべく使わない
- 絵具をたっぷり出す
1、初心者のうちは白と黒をパレットに出さない
透明水彩は基本『白は使いわない』です。
白は紙の白を利用して表現します。
絵の具に不透明の白を混ぜてしまうと濁ってしまい、せっかくの透明水彩絵具の良さが消えてしまうからです。
初心者さんはピンクや水色を作ろうとして白を混ぜてしまう方もいるので、最初の内はあえて白をパレットに出さないようにしておくのも一つの手です。
ピンクや水色の作り方

もちろんそれもありです!
しかし初心者さんがそれを安易にやりすぎてしまうと透明感のない絵になってしまいます。それなら初めから不透明水彩で描いた方がいいです。
透明水彩の魅力はやはり鮮やかな透明感です。
ピンクで彩色したい場合は、赤系の色を水で薄く溶くとピンクになりますし、水色は青系の色を水で薄く溶くと透明感のある水色になります。
安易に白を使わない為にも、ある程度透明水彩に慣れるまでは白色はパレットに出さない方がいいです。

芸術は自由なので、白を使いたい時は使っても大丈夫ですが、水彩に慣れるまではあまり白に頼らず考えながら塗るのが良いと思います。
初心者の内は黒色をパレット出さない方がいい理由とは
そして黒。
この色も初心者さんが安易に使ってしまうと透明感のない絵になってしまいます。

なのでまずは混色の知識や経験をしっかりと積んでから黒い絵具を使った方が良いです。
何故かと言うと、初心者さんは影は暗く見えるからと言う理由で黒い絵の具を混ぜて使おうとしてしまい、透明感のない濁った影になってしまうからです。
影は一見黒く見えますが、しかし影にも様々なグレーがあります。
影は黒い絵の具を使うのではなく、補色同士を混ぜてグレーを表現すると透明感のある自然な影を演出できます。
私も最初の頃は黒い絵の具を使わず補色を混ぜてグレーを作る特訓をしていましたが、これが結構大変で難しかったです。
けど慣れてくると自分で透明感のあるグレーを作るのが楽しくて楽しくて仕方なかったです。
補色を混ぜてつくることにより、黒でも青みのある黒だったり、赤味のある黒だったり、緑をおびた黒だったりと様々です。
初心者のうちから自分で黒やグレーを作るように意識すると、混色の知識が自然と身につき、彩色がより楽しくなります。
と言うか、かなり水彩の表現が上達します!
これは私が水彩をはじめて半年くらい経った頃に描いたりんごの水彩画ですが、黒い絵具と白い絵具を使わずに描いています。
影もグレーなのに透明感が出ていると思います。
まずは白と黒をなるべく使わない練習をしてみてください^^
永山裕子先生は初心者の内はパレットに白と黒を出さないことを推奨しています。理由は上記で述べた通りです。
ただ、絵の具の黒をすごく効果的に上手く使う方もいるので絶対にダメというわけではなく、初心者さんが安易に使わないために混色をある程度理解してから使用しましょうとのこと。
2、絵具はたっぷり出そう

少しずつ出して使う方もいると思いますが、いざ絵を描こうとしたとき絵の具が足りなくて、のびのびとした絵が描けなくて失敗してしまった…なんてことにも繋がります。
水彩はスピードも大切です。

そういう失敗を未然に防ぐには『パレットにたっぷりと絵の具を出しておく』ことが大切になります。
のびのびと描くためにも絵の具はもったいぶらず、仕切りにたっぷりと出しておきましょう。
永山裕子先生はチューブを丸ごと1本絞り出している
これは水彩作家・永山裕子先生著書の本に書いてあったのですが、絵の具はチューブまるごと1本をパレットに全部絞り出してしまった方が良いとのこと。
チューブに入ったまま絵の具が固まってしまい、使えなくなる恐れがあるので、あらかじめすべてパレットに出して乾燥させて使うのが良いらしい。
たしかに、その方が絵の具を無駄にするリスクは減りますよね。
永山裕子先生に限らず多くの水彩作家さんはパレットに絵の具をたくさん出して使っており、また推奨しています。

あくまでも推奨なので、そこは人それぞれで良いと思います。
ちなみに、永山裕子先生関連の記事は以下がおすすめです!良かったら読んでみてください。
実際にパレットを作ってみた

まず色の配置ですが、上段が黄色⇒赤⇒紫と色相環の順番に並んでおり、下段の先頭は緑⇒青と並び、環を意識して配置しています。
私は一番左端に黄色を置いていますが、作家さんによって一番端が赤だったり緑だったりと様々です。
私の場合、絶対一番左端に黄色がないと使いにくいのでそうしています。
そして下段の右端には茶系やグレーを配置。
使用したアルミパレットはホルベイン製のものです。以下の記事でレビューしています。
なぜこの配置にしたのかは以下の記事で詳しく解説しています。
色見本の作り方とメリット

水彩絵具はパレットに出した色と、実際に紙に塗った時の色とだいぶ印象が違います。
パレットにある青色は黒くくすんでいますが、実際に水に溶いて紙に塗ってみると大変鮮やかに発色します。

この色見本で実際の色を確認しながら絵を描いていきます。
どの色かすぐにわかるように、パレットの並び順に色見本を作り、色名もしっかり書いておきます。
最初は何十色もの色名を覚えるのが大変かと思いますが、色見本を見ながら絵を描いているといつのまにか自然に色名をすべて覚えてしまいます。
色見本の制作は勉強にもなるのでおすすめです。
ちなみに個人的にお気に入りの色見本は以下の記事になります。とってもきれいに色見本が作れたので、良かったら見てみてください♪
色見本はグラデーションを意識して作る

そこで、濃い色から薄い色になるようにグラデーションさせて色見本を作っておくと便利です。
筆の水を調節しながらグラデーションさせていきます。
コツとしては、ティッシュで絵具を落としたり、水を軽く含ませて伸ばしたりします。
何度か練習すればすぐに慣れてくると思います。
この色見本を作ることも水彩の練習になります。
この絵の具は伸びがよくてグラデーションさせやすいなとか、この色は粒子が荒くて沈みやすい色だなとか、すごく勉強になる作業です。
私は色見本を作るのが大好きで、何度も作り直しています。
その度に新たな発見があります。
色見本一つとっても本当に透明水彩は奥が深くて全然飽きる気配がありません。
初心者さんにおすすめのパレット
では最後に、おすすめの水彩パレットをご紹介します。
サクラクレパス パレット 24色用 パレツト24K
500円以下と大変安いのに水を弾きにくく、また24色も入るので、私も初心者の頃大変お世話になりました!
欠点があるとすれば絵具を入れる仕切りが狭い所ですかね。太い筆で描く方にはおすすめできません。
ただ、初心者さんはだいたい皆さん6号前後の筆を使うと思うので、6号以下の筆を使用している方にはイチオシです。
ホルベイン画材 水彩パレット No.80
やっぱりアルミパレットは丈夫で水を弾きにくく、またカッコいい所が良いですよね。
私は最初の頃プラスチック製のパレットを使っていましたが、アルミ製のパレットに替えてからモチベーションが一気に高まりました。
ホルベインのMサイズのパレットは仕切りも深く、混色スペースも広くて使いやすいです。
以下の記事で徹底レビューしています。
ターレンス アルミパレット 26色 S
小さいサイズのイラストなど、あまり大量に絵具を使わない方はこちらで十分です。
ただし、大きいキャンバスに大胆に色を載せたい方はMサイズ以上のパレットを選んだ方が後悔しません。
ターレンス アルミパレット 39色 S
メインとして使うのはちょっと厳しいのですが、サブとしては大変優秀なパレットです。
私もサブパレットとして愛用しています。以下の記事で詳しくレビューしています。
パレットの作り方まとめ
- 絵の具は固めて使う
- 水彩パレットは洗わなくていい
- 色相環を意識して並べる
- 初心者の内は白と黒をパレットに出さない
- 絵の具はパレットにたっぷりと出して固めておく
- 透明感のある絵が描けるようになる
- 3色以上混ぜても濁りにくくなる
- 補色や反対色について理解が深まる
もっともっと透明水彩が好きな人が増えたら嬉しいなと思います。