
こんにちは、くうこです
今回は私がふだんやっている苦しくない短時間クロッキーのやり方を紹介していきます。
こんな方におすすめ
・クロッキーが苦手
・クロッキーをしても絵が硬くなっちゃう
・クロッキーを習慣化したいけど苦しくて続かない
そんな方にお伝えしたい、遊び感覚で楽しく継続できる短時間クロッキーの方法を紹介していきます。
苦しくない短時間クロッキーのやり方





こちらがいつも私がやっているクロッキーの過程です
主に3つの工程に分かれています。
苦しくない短時間クロッキーのポイント
【1】アクションラインを引く
【2】単純な直線と曲線でアタリを描く
【3】アタリを下敷きにより具体的なディテールを描いていく
【1】と【2】の工程はジェスチャードローイングです。
私はいつもジェスドロをアタリに【3】でシンプルなデッサンをしています。
このジェスドロ+シンプルなデッサンが苦しくない短時間クロッキーのやり方になります。
なぜこの方法が苦しくないのかは後ほど解説するとして、先にやり方の過程を紹介していきます。
1 アクションラインを引く


今回はYouTubeの【GESture DRAWing Party #058】の2:00あたりのポーズを短時間クロッキーしていきます。
まず全体の流れや印象を長いストロークで引きます。
今回は『スラ~』とした緩やかな一本線をワンストロークで描きました。
この線はジェスドロの用語で『アクションライン』または『ラインオブアクション』と言います。
見て感じた印象を1本の線で捉えること。流れや動きを長い線で表現します。
2 単純な直線と曲線でアタリを描く


アクションラインを参考に胸郭(きょうかく)と骨盤を描きました。
この時意識していることはとにかく『単純な形で捉えること』です。
人体は複雑な形をしていますが、胸郭や骨盤は『丸』や『四角』などの図形に置き換えて描くとわかりやすいです。
また手足は円筒で単純化すると描きやすいです。初心者さんはふくらはぎの膨らみなどは一切無視して直線的な円筒でもOKです。
1分~2分で全身を描き切る


ジェスチャードローイングの1番大切な理念は『見たままを描くのではなく、見て感じたものを描く』ことです。
短時間で全身を描き切り、あなたが感じた印象を描いていきます。
なので、
・参考写真と同じ角度
・同じ形
・同じ長さや大きさ
にこだわらなくてもOK!好きに誇張しちゃってOKなんです!



この考え方が苦しくない短時間クロッキーの1番の肝になります!
そしてジェスチャードローイングで大切にしたい3つのルール
・短時間(1分~2分)
・詳細は追わない
・全身を描き切る
単純な形、少ない線で短時間で全身をたくさん描き切ることで、人体の基本構造を合理的に身につけていくことができます。
私はジェスドロをパルミーの砂糖ふくろう先生の講座を受講してはじめて習いました。
ジェスドロについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も合わせて読んでみてください。


3 アタリを下敷きにより具体的なディテールを描いていく


先ほど描いたジェスドロをアタリにしてデッサンしていきます。
私はデジタルなのでアタリの上に新規レイヤーを作り、より具体的な形を描いていっていますが、アナログの方はジェスドロを薄く描いたり、またはカラー芯で描いたりすると線がゴチャゴチャしにくくなると思います。
トレース台を使うのもおすすめ



この時意識していることは、やっぱり『単純化』です!
デッサンと言っても私のデッサンは単純な形とシンプルな線でとらえたドローイングです。めんどくさいのでわかりやすくクロッキーと呼んでいます。
ジェスチャードローイングでとらえた勢いのある線や流れを壊さないようにさらにブラッシュアップしていきます。
2分~3分で描き切る


工程⑧の絵を見てみるとアタリよりも腕をさらに曲げています。
アタリよりもさらに誇張してもOK!あくまでもジェスドロはアタリです。自分が見て感じた印象を自由に表現していきます。
なるべくワンストロークで描くことで、手に人体の形や比率を覚えさせていくこともできます。
あとこの短時間クロッキーの目的は人体を描くことに慣れるための練習なので、顔の中のパーツや手の指などの細かい部分は描き込まなくて大丈夫です。
それをしちゃうと短時間にならないし苦しくて続かなくなってしまうのでとにかく全身を単純な形で描き切ることが大切です。
初心者さんは5分以内に、慣れてきたら2分~3分で描き切れると思います。



1体に5分以上かけるとしんどいので全身を描き切れなくても3分以内、難しいポーズでも5分以内に終わらせちゃいます
なぜ先にジェスドロでアタリを取るのか


なぜジェスドロでアタリを取るのかと言うと、ジェスドロの勢いのある線をアタリにすることでクロッキーする時に躍動感が出やすいからです。
正確な形にとらわれず、いまにも動き出しそうなジェスドロの勢いのある線を活かすことで伸びやかなクロッキーができます。
クロッキーしてもなんか硬い絵になっちゃうよ~って方はぜひ、ジェスドロでアタリを取ってみてください。



私もまだまだ硬い絵になってしまうのでもっと躍動感が出るように精進します
最初から上手に描けたわけではない
以上の工程を見て『短時間で描けるのはあなたがうまいからですよね?』と思われる方もいると思いますが、私も最初からここまでのものが描けていたわけではありません。
例えば、これは今から3ヵ月前のジェスドロ1日目です


今から約3ヵ月前、私はもっと人体を単純な形でとらえられるようになりたくてジェスドロをはじめました。
いまと全然クオリティが違いますよね。
もっと短時間でクロッキーができるようになりたいと思った時に、やっぱり単純化がキーワードな気がしてジェスドロを本格的にやりはじめたんです。




途中独学でのジェスドロに限界を感じていたのですが、なんとタイミングが良いことにパルミーの砂糖ふくろう先生のジェスドロ講座が期間限定で無料公開されていたのでニコニコ笑顔で受講しました(*^^*)
その時の体験談がこちら


パルミーのジェスドロ講座を完走したあとは、約3ヵ月間毎日独学でジェスドロだけを練習しました。
そしてジェスドロ90日目がこちら


まだまだ失敗も多いですがジェスドロ1日目と比べたらちゃんと人間の形になっています。
なので、私も最初から出来ていたわけではないので、3ヵ月と言わず1年後、2年後と続けていくうちに上達するものだと思って気長にやっていくことが大切です。
絵はすぐには上達しなということをあらかじめ理解しておくと苦しまずに継続できると思います。
ちなみに、全部ではありませんがnoteに毎日ジェスドロを投稿していたのでお時間のある方は以下のページもチェックしてみてください。


苦しくならないクロッキーの考え方


なぜこの方法が苦しくないクロッキーなのかと言うと、ジェスドロの以下の考え方がすごく描くハードルを下げてくれているからです。
- 見て感じた印象を描く
- 細部は描かなくてOK
- 短時間で描き切る(1分~5分)
私は完ぺき主義なところがあり、以前は1㎜のズレも許さないほど丁寧にクロッキーや模写をしていました。モチベーションが高い初心者の頃は別に何とも思わず前向きに取り組んでいました。
けど、2年、3年と続けていくとその1㎜のズレも許されないクロッキーと模写がしんどすぎて絵を描くのが楽しくなくなってしまったんです。
しかも『こんなに時間をかけて丁寧にクロッキーしているのに全然上達しない!』と心が引き裂かれる思いで日々苦しみながら絵を描いていました。
こちらは以前やっていたクロッキー


これは今から5~6年前のクロッキー(デッサン)なのですが、見てわかるようにすごく丁寧に細部まで描いています。
で、このレベルのクロッキーを毎日やるのは正直地獄だと思っています。時間はかかるし楽しくないし苦しいだけ。
その結果、私はこの後たしか2年ほどクロッキーをやらなくなった他、絵を描くことに苦手意識が生まれてしまって暗黒期に突入したと記憶しております。
しかし2022年に砂糖ふくろう先生のジェスドロをパルミーで学んだことをきっかけにまた楽しくクロッキーをすることができるようになりました!
『見たままを描く』ことをやめて『見た印象を描く』ことを意識してから、絵を描くのが格段に楽しくなったんです!
その当時の体験談はこちら


ただこの当時の私はジェスドロの短時間で描くことの重要性に気がついておらず1か月後くらいにまた普通にクロッキーをやりはじめちゃったんですよね。
もちろん苦しくなってそのクロッキーも長続きしなかったです。
それから2年の時を経て、再度ジェスドロに挑戦してみたらようやく短時間で詳細を追わずに全身を描き切ることのメリットに気がつき、いまこうしてこの記事を書いております(*^^*)
ではなぜ以下の
- 見て感じた印象を描く
- 細部は描かなくてOK
- 短時間で描き切る(1分~5分)
の3つのルールが苦しくないクロッキーになるのか解説していきます。
見て感じた印象を描く
ジェスドロもクロッキーもよく『見て感じたものを描く』と言います。
最初その意味がよくわからなくて戸惑っていたのですが、『見たままを正確に描かなくて良い』『誇張していい』という言葉を聞いてようやく理解しました。そしてその瞬間肩の力がふっと抜けたんです。



見たままを正しく描かなくて良いんだ……。
もっと好きに自由に表現して良いんだ。
と、自由に楽しく絵を描く感覚を思い出しました。


このクロッキーも見たままを描いていません。
見て感じたものを描いたり、一部誇張して描いています。けどちゃんとクロッキーとして成立していますよね。
これが良い^^
もちろん、初心者の頃は形や比率を覚える練習としてグリッドを引いて見たままを正確に描写する練習も必要だと私は思っています。それをやってきたからこそ今があると思っています。
けどもし今あなたが見たままのクロッキーに疲弊しているのなら、ジェスドロのような『見て感じたものを描く』クロッキーにも挑戦してみてほしいです。
細部は描かなくて良い


そして細部を描かなくて良いので1体1体を短時間で描き上げることができます。
顔のパーツや表情を描き込むのって結構プレッシャーになりませんか?
私はいつも『顔が可愛く描けない…』『指が上手く描けない』ってそれが辛くてクロッキーが億劫になっていました。
衣服のシワや髪の毛の形も写真と同じように描かなくちゃと訳の分からないプレッシャーを自分にかけては疲弊していました。



細部まで正確に描かないと絵が上達しないと思い込んでいたんです
形を正確に描けるようになったら上手い絵が描けると思っていたんです。結果は何年経っても思うように描けずただただ練習が苦しいだけ。
本当に当時は絵を楽しく描くことができずに辛い数年間を歩んできました。
短時間で描き切るから失敗が怖くない


そして短時間で描き切ることのメリットは『たくさん人体を描ける』『1分2分で描いたから失敗しても怖くない』『短時間だからやるハードルが低い』ことだと思います。
以前のクロッキーでは長時間丁寧に描いたのに失敗してへこんでしまい、さらには全然個数をこなせないので何年たっても絵が上達せず、自分はもうこれ以上上達するのは無理なのではと不安が重くのしかかっていました。
それと同時に希望が消えモチベーションも消え絵を描かない日が何日も続いた時期もありました。
けど短時間で描き切るジェスドロに出会ってからはそんな重たい気持ちになったことは1度もありません。
『ジェスドロは遊び』『ジェスドロはアイデアスケッチ』『失敗上等!どんどん失敗して成長していこう』という考え方がすごく自分に合っていました。





とにもかくにもジェスドロは描くハードルを下げてくれるんです!
完ぺきじゃなくていい、失敗してもいい、見て感じたものを自由に描いて良いんだとその考え方に救われました。
特に私と同じで完ぺき主義なところがある方はもっと自由にラフにクロッキーすることで肩の力が抜けて絵の練習も楽しみながら続けていけるんじゃないかなって思います。
もっと自由でいい。もっとラフでいい。苦しみながら絵の練習をする必要はないのだから。
とにかく描くハードルを下げよう


毎日クロッキーを継続する上で大切なのが『できない自分を責めないこと』、そして『できない時の代案をあらかじめ決めておくこと』です。
誰にだって体調が悪い日はあるし身体が疲れてやる気が湧いてこない時もあります。人間なのでそれが普通です。
私の場合、やる気がでない時は『アクションラインをピーって1本引いて終わりでOK』とあらかじめ自分に許可を出してあります。もしくは『30秒ドローイングを5分やっておしまい』などとにかくハードルを下げまくった代案を用意してあります。



やりたくないのに無理にクロッキーをやる必要はないんです
でもなんかやらないと罪悪感がわいてきてしまう完ぺき主義さんはあらかじめやる気がでない時の代案を決めておくと気持ちが楽になると思います。
私の場合は先ほども言ったように
・アクションラインを1本引いて終わりでOK
・ジェスドロを5分やっておしまいでOK
というめちゃくちゃハードルの低い代案をあらかじめ用意してあります。


アクションラインを1本引くなんて5秒もあればできます。ノートを開いて、資料を開いて、アクションラインをピーって引いておしまい。これも立派なジェスドロです。
それでもどうしてもアクションラインさえ引きたくない日があるとすれば、もうその日はやらなくていいと決めています。できない自分を責めない。そしてなぜできなかったのかちゃんと自分に聞いてみる。
とにかくハードルを低くして、できない日の代案を考えておくことであまりプレッシャーに感じず楽しく継続していけると思います。



上記の方法で私はジェスドロを90日間1日も休まず継続することができました
私はその日の気分や目標で練習パターンを変えている
今回紹介した短時間クロッキーは、
【1】アクションラインを引く
【2】単純な直線と曲線でアタリを描く
【3】アタリを下敷きにより具体的なディテールを描いていく
ことだと紹介しましたが、その日の気分や目的で【1】だけで終わらせる日もあれば、【2】のジェスドロで終わらせる日もあります。
身体のディテールの解像度を上げたい時や、ここの立体どうなってるんだ?と疑問が湧いてきた時に【3】のクロッキーまでしっかりやります。
なんの目的も無しに毎回【3】までやるのは苦しいと思うので、基本は【2】のジェスドロまででOKです。
私はポーズのインプットを重点的にやりたい時は【2】まで、ファッションクロッキーをやる時は【3】までという感じにもう練習パターンが決まっていたります。



自分が苦しくならない練習方法、練習量を決めることも大切です
上達するにはそれなりに頭を使って描く必要もある


あと個人的にここも結構大切だと思っていまして、ただジェスドロをするだけ、ただクロッキーをするだけだと上達しにくいかな……と思っています。
『手を上に上げた時に肩と胸も連動して上がるんだな』とか『後ろを振り向くと肩と顎が近づくんだな』とかそういう事にもちゃんと気がついていく。
それができないとただジェスドロが上手い人、だたクロッキーが上手い人になってしまう可能性があります。と言うのも以前の私がそうだったんです。
わたし、自分で言うのもなんですが結構クロッキーうまいと思うんです。
でもいざオリジナルでイラストを描こうとすると資料を参考にしているにも関わらず思うように人体が描けなくて悪戦苦闘することが多かったです。
けどちゃんと頭を使いながらクロッキーすることでオリジナルイラストを描く時にもその知識が無意識に自然と湧いてきて『この角度だと首が長く見えるはずだからいつもより長く描いてみよう』とか『ここは圧縮されるからこのくらい腕が短くても良いかな』とかそう言うのがわかってくる。
もちろん私はまだまだ技術が足りなくて頭でわかっているのにそれを絵として表現できなくて苦戦することも多いのですが、だからこそジェスドロで人体の単純化を学び、頭を使いながらクロッキーするように心がけています。



いままで描けなかったものが少しずつ描けるようになる過程が楽しい♪
初心者さんはまず線を引くことに慣れることからはじめよう
初心者さんはそんな難しいことを考えずにとりあえず楽しくやることをおすすめします。
ジェスドロもしくはクロッキーに慣れてきたら立体、パース感、解剖学っぽいことを意識してやると良いよって話であって、初心者さんはとにかく描くハードルを下げて楽しみながらやってみてください。
先ほど紹介した私のジェスドロ1日目と4日目を見てみてください。立体、パース感、解剖学っぽいことなど全然意識して描いてませんよね。線を引くことで精一杯でした。
線を引くことに慣れてくると次第にそういう細かな気遣いもできてくるので最初からうまくやろうとしなくて大丈夫です。



長く継続していくにはとにかく楽しんでやることが大切
とりあえず遊び感覚で楽しみながら挑戦してみてください。
まとめ
今回は苦しくない短時間クロッキーの方法を紹介しました。
クロッキーは奥が深いのでまだまだ伝えたいことがたくさんあるのですが、また時間を見つけてクロッキーについて語ってみたいです。
まず今回紹介した短時間クロッキーのベースにあるのはジェスチャードローイングなので、気になった方は以下の記事も合わせて読んでみてください。


クロッキーのやり方は人によって違うので、今回紹介したやり方が合わなかった人は他の方のクロッキー方法も参考にしてみてください。
それではまた次回\(^o^)/