Tシャツはシンプルな構造ながら、イラストとして描くとなると結構むずかしいですよね。
かく言う私もとっても苦戦しました。
初心者の頃はシンプルなTシャツすらまともに描くことができなくて、それがものすごくくやしくて、毎日のように描いては消し描いては消しをくり返していました。
なんでこんなに服が描けないんだろう…と真剣に考えた時、「まずは洋服の構造から調べてみるのもありかも!」と思い立ち、Amazonで『ファッションデザイン画ビギナーズ超速マスター』を購入。さっそく練習を始めました。
すると少しずつ、「服はこうやって着せれば良いんだ!」と気づきが増え、あんなに苦手だった洋服を描くのが、だんだん楽しくなっていったんです。

今ではこんな感じのファッションイラストもよく描くようになりました^^
そこで今回はファッションデザイン画の知識を交えながら、衣服の中でも特にシンプルなデザインのTシャツにフォーカスして、服の構造と描き方を紹介していきます。
Tシャツの構造やデザインがわかることで、好きなキャラクターにオリジナルデザインの衣服を着せて楽しむこともできます。この記事が少しでもあなたの創作のヒントになれたら嬉しいです。
キャラクターにTシャツを着せる3つのコツ

今回は標準的なサイズ&デザインのTシャツを着た女の子を描いてみました。
Tシャツを描く3つのコツ
・衣服の構造
・人体の立体
・ゆとり
この3点を意識することで、難しい衣服の描写も、少しずつ少しずつ上達していけます。
そしてご自身で考えたオリジナル衣装を好きなキャラクターに着せたり、個性的なファッションイラストも描けるようになったりと、表現の幅がどんどん広がっていきます。
ではまず、Tシャツの構造から紹介していきます。
衣服の構造とデザイン【Tシャツ編】

ファッションデザイン画の知識を交えながら、Tシャツの構造やデザインについて解説していきます。
衣服の構造とは、Tシャツを構成する『各パーツ』や『縫製の仕組み』、そして『デザイン要素』のことを指します。
では1つずつ解説していきます。
Tシャツを構成する各パーツの名称

Tシャツの主な名称を6つピックアップしました。以下の吹き出しをタップすると詳細を確認できます。
「みごろ」と読みます。胴体を覆うメインの生地で、「前身頃(前面)」と「後身頃(後面)」の2枚の生地で構成されるものもあれば、一枚の生地で構成されるものもあります。
今回は上記6つのパーツを紹介しましたが、ファッションデザイン画から見るともっと多くの専門的な名称があります。
もっと詳しく衣服の構造や各名称が知りたい方は以下のようなファッションデザイン画の教本で学ぶことができます。特にファッションイラストを描きたい方におすすめの本です。
私が最初に購入したファッションデザイン画
縫い目(縫製の仕組み)

Tシャツは大きくわけて、
・前身頃(まえみごろ)
・後身頃(うしろみごろ)
・袖(そで)
・衿(えり/ネックライン)
この4つのパーツから構成されています。
衣服の構造や縫い目は、人間の身体の動き、関節の可動域など意識して設計されています。
特に肩回りは可動域が大きく、様々な方向に動かせることから、身頃と袖のパーツを別にすることで動きやすく、かつシルエットも崩れにくい構造になっています。
デザイン要素

そしてTシャツの構造で個性が出せる場所がこのデザイン要素。
Vネックだったり、フレンチスリーブだったり、生地の厚さや素材感の違いなどを組み合わせることで、何パターンものデザインを創作できます。
せっかくなので次の章にて、Tシャツでよく見る定番デザインをいくつか紹介します。
イラストに活かせる!デザインの名称・形の違いを解説

Tシャツはとても身近な服ですが、「袖」「裾」「ネックライン」のデザインによって、シルエットや印象が大きく変わります。
これらの名称やデザインの種類を知っておくことで、自分で衣装をデザインするときや、ネットで資料を探すときにすぐに検索できたりと、とても便利です。
ネックラインの種類3選

- クルーネック
-
丸く、首にフィットする定番のネックライン。ラウンドネックとも言う。最も一般的なTシャツの形です。カジュアルでシンプル。どんな体型にも合わせやすく、男女問わず人気。
- ヘンリーネック
-
前あき部分にボタンが数個付いているデザイン。クルーネック+ボタンのデザインが一般的。カジュアルだけど、少しクラシックでこなれた雰囲気。
- Vネック
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ネックラインがV字型に開いているデザイン。クルーネックよりも首元がすっきり見えるのが特徴。シャープで大人っぽい雰囲気。小顔効果や首を長く見せたいときにもおすすめ。
袖の種類3選

- 半袖(ハーフ・スリーブ)
-
肘くらいまでの長さの袖を半袖(ハーフスリーブ)と言います。Tシャツに多く使われるスタンダードな形で、動きやすく、涼しげな印象になります。
- フレンチ・スリーブ
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肩に少しかかるくらいの、非常に短い袖。袖の切り替えがなく、身頃と一体になっていることも多い。女性らしく、軽やかで涼しげ。腕が長く見える効果もあります。
- ドロップ・ショルダー・スリーブ
-
袖が肩の位置より下にあるデザイン。アームホールが大き目でややゆったりとした印象になります。リラックス感があり、こなれたカジュアルスタイルに。
裾の種類3選

- ストレート・ヘム
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文字通り、裾を真っすぐ一直線にカットした形状。シンプルかつベーシックなデザインでユニセックスな印象。最も一般的な形です。
- ラウンド・ヘム
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両サイドが少し上がって丸くカットされたデザイン。裾が丸くなっているため、カジュアルな中にもふんわり感やおしゃれ感があります。
- リブ・ヘム
-
裾にゴムのような伸縮素材(リブ)が付いているタイプ。Tシャツよりもスウェットやカットソーに近い仕様。裾が体にフィットするため、丸みを帯びたシルエットに。
もっとデザインの名称や種類が知りたい方におすすめの本
今回は各パーツのデザインを3つずつ紹介しましたが、デザインの種類や用語は両手で数えきれないほど、と~ても沢山あります。
もっと色んなデザインやファッション用語を知りたい方は『新版モダリーナのファッションパーツ図鑑』がおすすめです。
頭の中で想像しているデザインの正しい名称がわからなくてネット検索ができず資料集めに苦労したことはありませんか?私はしょっちゅうあります。
そんな時に便利なのがこちらの本。
服のデザインの名称や各パーツの呼び方など、ファッションに特化した専門用語をイラスト付きでわかりやすく紹介してくれています。ファッションパーツ図鑑というタイトル通りの図鑑になっています。
1冊あると便利なのでおすすめですヽ(^o^)丿
実際にキャラクターにTシャツを着せてみよう

それでは定番サイズのTシャツをキャラクターに着せていきましょう!
冒頭でもお伝えしましたが、キャラクターに洋服を着せる時のポイントは以下の3つです。
・衣服の構造
・人体の立体
・ゆとり
衣服の構造については説明したので、ここからは『人体の立体』と『ゆとり』について解説していきます。
人体を立体でとらえる

まず人体を描いてから衣服を着せていきます。
今回はわかりやすく紹介するためにキレイに人体を描いていますが、普段はこんなに丁寧に描いていません。洋服の下は隠れてしまうので、単純化した素体やアタリを描いてそれに服を着せています。
ただし、見えない部分も丁寧に描かれる方もいらっしゃるので、そこはご本人様の好みでどうぞ^^

なぜ人体を描いてから衣服を着せていくのかというと、『衣服を立体でとらえる』ためです。
Tシャツは平面ではなく、立体物としてとらえます。
洋服の中の人体の構造をわかっていないと衣服の『立体』『ゆとり』『シワの入り方』を理解できず、立体感のないイラストになってしまいます。
私は長年人体を立体でとらえることができなくて、いつも平面的になっていましたが、イラスト歴7年目~8年目くらいでようやく人体を立体でとらえられるようになってきたので、初心者さんもそれくらい時間がかかるものだと思って焦らずゆっくり人体の立体感を養ってみてください。
人体にラッピングラインを入れると立体感を養えます

衣服と人体の間にはゆとりがある

つづいて、ゆとりについて解説していきます。
こちらはレギュラーサイズ(標準的なサイズ)のTシャツです。
Tシャツはインナーなので素肌に近いのですが、実は意外とゆとりがあります。
このゆとりを表現するためにも、はやり先に素体(アタリ)を描いてから衣服を描く方がうまく描けます。
ゆとりを少なくするとピッチリタイプのTシャツになったり、ゆとりをもっと増やすとオーバーサイズのTシャツになります。
デザインの組み合わせは無限大

先ほど紹介した各パーツの種類の中から好きなものを組み合わせてオリジナルデザインを考えてキャラクターに着せてみました。
「裾」「袖」「ネックライン」によって、見た目の印象や着心地が大きく変わります。
これらを上手く組み合わせることでオリジナルファッションをデザインすることも可能です。
シワの描き方はこちら

着せかえ素体ちゃんに洋服を着せてみよう

Tシャツの構造や描き方のコツはなんとなくわかったけど、1番肝心な人体がそもそも描けないんだよ~って方もいらっしゃると思います。
そこで今回、私のイラストで恐縮ではありますが、衣服を描く練習ができる全身イラストを無料で配布いたします。
今回登場した女の子の全身イラストにぜひあなたがデザインした洋服を着せて遊んでみてください。
素体は商用利用不可&無断転載NGではありますが、趣味の範囲内や練習用のイラストでしたらSNSに投稿していただいて大丈夫です。メンションを付けて投稿してくださればニコニコ笑顔で見にお伺いします^^
詳しくはnoteに書いてありますので、ぜひ画像をダウンロードして楽しんでください。
noteはこちら
何度も繰り返し描くことで上達していける

ポーズによって衣服も様々な形に変化して難しいのですが、何度も繰り返し描くことで少しずつ手に覚えさせていくことができます。
そして衣服の形やシワには特定のパターンがあることに気がつくと思います。
なのでぜひ、素体ちゃんに何度も色んな服を着せて遊んでみてください。
練習だと思わず、遊び感覚でトライすることで楽しみながら継続していけます。
今回は正面の素体ちゃんですが、今後は斜めとかコントラポストがついたポーズなども公開していこうと思っています。楽しみに待っていてくださるととっても励みになります\(^o^)/
まとめ
今回はシンプルなTシャツをベースに衣服の基本構造や各パーツの種類、名称などを紹介しました。
今後、少しずつ各パーツごとのデザインの種類を紹介していくので、楽しみに待っていてくださると嬉しいです!
あと、衣服を着せる人体をもっと上手く描けるようになりたいよって方は以下の記事もおすすめです。
人体の練習におすすめ

着せ替え素体ちゃんも活用してね
それでは、また次回\(^o^)/